怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって

いささか気がめいって、話題の旬はとっくに過ぎ去ってしまったのだが、一応アップしとこうと思います。


図書館関係者、特に若手のあいだで盛り上がっているらしいのが下記のイベントである。

≪全国の図書館関係者が東京に集う全国図書館大会

その前日、10月29日(木)にイベントやります!

この機会に日頃なかなか知り合えない、他県の人、他館種の人とつながりをひろげたい……。
そんな人たちのための、そんな人たちによる前夜祭です。
委託・指定管理など、いまの図書館の目の前の話は禁止。中堅からもっと若い人への説教も厳禁。明るい笑顔で図書館の夢を語るために集まってください。
【開催日時】 2009年10月29日(木)午後7時〜午後9時
【開催場所】 HUB(ハブ)日比谷店
〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-6-8 松井ビルB1 電話03-3592-0309
【参加費用】1500円 (スタンディング席。フードのみ)
※ドリンクは別途、カウンターで自費購入。
【参加対象】 図書館に関わるすべての人 ≫


アメリカの哲学者、リチャード・ローティがこんなことを書いている。
フロイトが提唱しているのは、私たちは特定の事柄に回帰する ー現在の特定の状況や選択を、過去の特定の行為や出来事と比べて類似しているか、あるいは異なっているのかというように眺めるー 必要がある、ということである。』
   『偶然性・アイロニー・連帯』p73

必要ならばということで過去を、振り返ろう。

むかし 白人の学生が黒人の学友にむかって、こんなことを言ったかもしれない。
ぜひ来てくれよ、今度のパーティ。
もちろん君たちも大歓迎さ。
ただ、君たちの話はしないでくれよ。
明るいパーティにしたいんだから。

むかし ドイツの小学生が、クラスメートのユダヤ人にこんなことを言ったかもしれない。
ぜひ来てくれよ 今度のパーティ。
もちろん君たちも大歓迎さ。
ただ、君たちの話はしないでくれよ。
夢を語るパーティなんだから。

上記の部分は、委託、指定管理系図書館員に対してやはり非人道的ではないかということを示す振り返りである。

もうひとつ、これは図書館という業界の特性として、NGワードという考え方には「検閲」というイメージが付きまとうことは避けがたいという気もしている。
「NGワード」というやり方は、いろいろ主催者にも考えがあるようだが、やはり感心しない。

ただ、特に若手の関係者にもそれなりの考えがあることがブログなどを通してわかったことは収穫だった。
さしあたり成功を祈ろうという気もしている。
『カム シャイニング』
http://www.youtube.com/watch?v=9dow9D8k0u4
どこで混入したのかどうしようもなくノイズが乗っているのだが、全体としてノイズさえ含んで、ある強い表現になっているようにさえ思う。蝉の声ではないけれど、そこにある種の静寂さえ感じ取るのが、日本人の感受性かもしれない。


そもそもこのパーティは翌日行なわれる全国図書館大会のプレパーティに過ぎないのだし。
そこで何が話し合われるのかということに関して、いくつかのブログから教えを頂いた。
どうやら『移民排斥』が、目玉の一つになるようなのだ。
そして移民とはわれわれ委託・指定管理系公共図書館員のことなのだ。

「移民」という言い方はもちろんメタファーだが、日本図書館協会の我々民間人図書館員への拒絶、侮蔑、差別の実情を、表象するのには実にぴったりなのだ。
その意味で日本図書館協会(特に自分たちの労働問題(既得権の保護(注1))を中心的な課題にすえる組合系の連中にとって)の、我々民間系公共図書館員人への攻撃は、在特会維新政党新風と同様の色彩を帯びているように思う。

たぶん図書館大会の本番はこんな感じになるのだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=2oafXv0Qnfs

自分たちの場所に(彼らがそう思っているだけなのだが、だって公共図書館は、市民「みんなの図書館」でしょう。)、毛色の違った連中が流れ込んでくることに、彼らは我慢ができないようだ。
彼らの民間人公共図書館員への侮蔑的な発言は、この国の人口比においては民間人が多数派であることを考えれば、政治的に見ても、得策とはいいがたいのは明らかなのだが、彼らはそれをやめることさえできない。
彼らの不快感がいわゆる無意識のレベルに達していて、それをコントロールすることができなくなっているからだろう。

それにしても、民主主義の一角をになうと自認する日本図書館協会が、他者への寛容さ、許容性という側面で、、在特会維新政党新風といった、愛国主義的で差別的な団体とたいして違わないというのは、じつに残念なことだ。

そこでラップ調ポエム?をひとつ。

『翌日に開かれる大会 
 確実に導かれる展開
 在特会に 言っとくかい?
 君たちにそっくりな回路
 たぶん
 君たちにそっくりな会報
 とにかく出てけ、おまえらは出ていけ』

ということで、なんだか空しくなって、ネタをアップするのに間があいてしまった。

話はいささか変わりますが、
ある委託・指定管理反対論者が、とあるSNSで書き込んだ言葉は、ある意味で彼らの本音を示しているように思う。
≪逆にぼんくらでも正規雇用された公務員が一杯いるってことはそれだけ安定した収入と、家族、そして子どもとクルマといったものが持てるという事なんですよ≫
しかし、その一方で、結婚することもままならない(麻生総理の視野にもそれは入っているようだが)、「ワーキングプア」と呼ばれる層が増大していることを忘れてはならないし、ワーキングプアの問題を考えるなら、それは「ぼんくらリッチ」の問題と絡めないわけにはいかないだろう。
いやほんと古き良き「貴族と農奴」みたいなはなしだものね。

委託・指定管理反対の論陣を張る人たちはその理由のひとつに「ワーキングプア」問題を挙げるが、それはどうにも偽善的なものだ。
彼ら(公務員組合系図書館員)が、給与のある程度の減額を受け入れてくれれば(そうしたところで彼らが現在の格差社会において、中の上の階層から零れ落ちることはあるまい。彼らの基礎単価は867万円なのだ)、われわれが絶望的なプアから脱出することは現実的にある程度可能なのだから。

とにかく図書館の仕事をするよりも、労働組合活動!や、それに付随する平和運動!!、そしてそれに付随する図書館運動!!!が大切だと思う組合系公務員図書館員とそのシンパの市民は、とっとと図書館業界から退場して欲しい。
公共図書館がいつまでも彼らの植民地や入植地であってはならないはずだ。
神のものは神に、カエサルのものはカエサルに。

一般職で役所に入って図書館に配属されたノンポリ?若手公務員図書館員が、一刻も早く図書館から別の部署への異動を望むことになる原因のひとつが、どうやらこの手の政治色の強い先輩組合系公務員図書館員との折り合いの悪さにあるようなのだ。
なんて不毛な。
(駆け出し委託系末端図書館員として、図書館見学なぞに出かけたことがあったのだが、同行したこの手の市民が見学先の職員にした質問が「組織率(もちろん組合の)はどのくらい?」というものだったので、彼らが図書館を「良くする」ことは、二に次だとつくづく思い知らされた)(注1)

シェイム
http://www.youtube.com/watch?v=I5XyouFxShs

結局中途半端に働くからいけないんで、ニートになるのがよいのかしら。


(注1)
労働組合は革命の夢を見るか』『昨日自民党が失ったものを、労働組合は二十年前に失っていた 』 http://d.hatena.ne.jp/yellowbell/20090822というブログが面白かった。

PS
ついでに、全然関係のない話なのだが某図書館に出した質問とその回答を。
ちなみに直接質問をするという方法を私は「東京の図書館をもっとよくする会」http://motto-library-new.cocolog-nifty.com/blog/から学びました。トホホ。

質問
『 lFLA/図書館と知的自由に関する声明(1999)によれば、
『国際図書館連盟は,人が知識,創造的思考,および知的活動を表現したものにアクセスし,また自分の見解を公然と表明できる基本的な権利を有することを宣言する。』
と、「人」の権利を定めています。

貴区の図書館のネット利用において、現在禁止されている動画などの視聴を「人が知識,創造的思考,および知的活動を表現したものにアクセス」する権利として、認めていくことはできないでしょうか?

また、同様に制限されている書き込み行為を「自分の見解を公然と表明できる基本的な権利」として、認めていく方向に移行することはできないでしょうか?

図書館は情報格差の防波堤という側面を担うものだと思います。
現在のネット文化の急速な普及を考えれば、ネット環境を自前で持たない人へのサービスはできるだけ広範なものが望ましいと思うのですが。

担当者のかたの現状認識と未来への展望などを教えていただければ幸いです。』

回答
『日頃より、区立図書館をご利用いただき誠にありがとうございます。
区立図書館のインターネット閲覧用端末につきましては、公共施設内で
幅広い年齢層に利用されることから、公の秩序または善良の風俗を害する
おそれがあると認められる動画コンテンツを含むウェブサイトへの接続を
制限しております。
また、このインターネット閲覧用端末は、利用者がインターネットを利用
して情報を検索・閲覧できることを目的に設置していることから、書き
込み行為についても利用を制限しております。
インターネット環境を自前で持たない人にとって、公共図書館のインター
ネット端末は、様々な情報を取得し、発信する有効な手段となり得ますが、
上記の理由により現在利用上の制限を設けている状況であり、図書館に
おけるインターネット閲覧用端末の利用については、今後も研究してまい
りたいと考えております。
ご理解とご協力をいただき、今後も区立図書館をご利用いただきますよう
お願いいたします』

いまやネット端末はどこの図書館にもあるだろうと思うけど、そのルールは大体どのへんで落ち着いているのかに少し関心があります。
上記の回答へのつっこみ方など教えていただければ幸いです。