ライブラリアンのためのリナックスという夢想

すでに存在するかもしれないのだが。


リナックスをさてどれにするかと、いろいろ調べていたときに、少し考えさせられたことがあった。
いわゆるディストリビューションのなかの、特定ユーザーを想定したものを目にしたときだ。
医師(会計士だったかも)向けや教育関係者向き、クリスチャン向けには「Ubuntu Christian Edition」というようなものがあるらしい。
おおむねクリエイター用にチューンされた「Ubuntu Studio」なんていうものもある(これはおしゃれさんぽくて、心惹かれるものはあったのだが、初心者向きではないかもということで断念した)。


さて、私が思ったのは、このそれぞれの専門家向きのパッケージは門外漢でも、その内容(ソフトの組み合わせといったこと)がなんとなく想像がつくということだった。
そうなると気になりはじめたのが、図書館員のためのディストリビューションというものがあったとして、門外漢にそれは容易に想像がつくかということだった。
これはいわば、その職業の専門性の社会的認知の問題だと思う。
(まあ、当時そういう本を読んでいたのだね。)

図書館運動は何を残したか―図書館員の専門性

図書館運動は何を残したか―図書館員の専門性

これはまあ、逆に言えば、どんなディストリビューションを欲しがるかということで、その人なりの図書館観が示されるということでもある。
私としては…、
さしあたり、基本的な開発環境としてのアパッチ、MYSQL、いわゆるLAMMP、
そこに情報発信のための道具としてのCMS公共図書館のホームページのひな形としてサンプルなどもつけて)、
なんかがあらかじめ設定済みで組み込まれているもの。
インストールしたらすぐに使えて、しかも丁寧で豊富な解説がついている(もちろん日本語で。とほほ)。
そんなものがあれば、一発で私はそれを導入しただろう。
そんなものがほしかあったんだよ。(泣き)

(むかし野坂昭如さんがこの歌を歌っているのをテレビで見た記憶がある。題名のない音楽会?だったか)

Drupal(注1)を齧り始めたのは(歯はすでに欠けはじめているけれど)、Drupalで作られたとされる海外の図書館のサイトが良い感じだったからなのさ。
http://drupalib.interoperating.info/library_sites

どうでしょう、図書館情報学科の学生様、あるいはコードフォーリブ(違ったか)のみなさま。
図書館関係者向けのディストリビューションなぞ。


それはそれ。
ひとつのディストリビューションが多くのユーザーを獲得するのに重要なのは、全体としてのプログラムの構成や精度が重要なのはもちろんのこと、むしろ、広い意味でのインフォメーション{導入法や、使用法、問題が発生したときの解決法(よく分類された「質問と回答」コーナー)}などが整備されていることのように思われる。
そしてそれは本来図書館員が基本的に得意とすることではないだろうか。
図書館員のためのリナックスが、いつの日か「あれ図書館員じゃなくても、使えるぜ。図書館員で作ってるやつだから」などと広く普及することがあるならば、この社会における図書館員の認知と地位は確実に向上したといえるのではなかろうか。


(注1)
ちなみに国立情報学研究所NetCommonsというのもあるのだが、こちらでhttp://www.ishikawa-c.ed.jp/gakkou/index_nc.html小学校のサイトをつらつら見ているうちにいささか寒々しい気持ちになった。「かほく市立金津小学校」をクリックしてほしい。まあ、気にならない人は気にならないのだろうが。